二世帯住宅は、親世帯と子世帯が家事や日常のさまざまなことを協力し合え、育児や介護がしやすいといった理由で近年さらに注目が集まっています。実際に新築で二世帯住宅を建てたり、一戸建ての家を二世帯住宅にリフォームする人も増えているといいます。二世帯住宅には生活の利便性だけでなく、経済的なメリットも大きいです。注文住宅で新築の二世帯住宅を建てたときの税金面でのメリットについて考えてみたいと思います。
課税上の二世帯住宅は、一般的に二世帯住宅と呼ばれる住宅とは違います。課税上の二世帯住宅は構造上、各世帯がアパートのようにそれぞれ独立して生活できる状態であるものが要件とされているようです。具体的には世帯ごとの玄関、キッチン、トイレがあり、行き来できる通路がある場合は扉などで仕切られていることが必要です。面積についても1世帯当たりの床面積が50平方メートル以上280平方メートル以下が要件です。詳細については住んでいる市区町村の税に関する窓口で確認しておく方がよいでしょう。課税上の二世帯住宅の要件を満たしていれば、不動産取得税や家屋や土地にかかる固定資産税において税の優遇を受けることができます。
床面積が50平方メートル以上240平方メートル以下で、居住用の住宅を取得したときにかかる不動産取得税は、価格から1200万円が控除されますが、二世帯住宅では2世帯分なので、1200×2=2400(万円)が控除されます。
固定資産税についても新築住宅では床面積が1世帯当たり120平方メートル相当分の固定資産税が新築後3年間は2分の1に減額されますが、二世帯住宅では2倍の240平方メートルまで適用されます。土地についても小規模住宅用地として1世帯あたり200平方メートルのところが2世帯なので最大400平方メートルまで税の軽減が適用されます。
また、二世帯住宅は相続税対策にもなるといいます。
相続税では相続財産の評価額によって納める税の額が変わりますが、土地は高額になりやすく、同居していない相続人にとって税負担が大きくなる可能性があります。小規模宅地等の特例は土地を相続する人が被相続人の配偶者や被相続人と同居していた親族で相続後も継続して居住している場合、土地の評価額が330平方メートルまで80%も減少させることができる制度です。二世帯住宅では同居と継続した居住の二つの条件を満たし、小規模宅地等の特例を受けやすいので、節税につながるといいます。ただし、区分登記をしてしまうと小規模宅地等の特例の対象外になってしまうので注意が必要です。